夫婦奴隷の淫靡な性生活
第一部 夫婦奴隷に落とされるまで...
パート5
共有される妻

 僕と裕子の夫婦生活は坦々と続いて行きました。外見には普通の中年夫婦でした。子供のいない静かな夫婦でしたが、夫と妻の性生活は人並み以上に濃密でした。夫は家の中ではスカート姿で生活していて、妻も仕事から帰ってそのままのスカート姿でした。週に2回のペースでの着衣セックスはSMごっこを交えながら、夫婦だけが知る興奮に塗れて続けられていたのです。そんな夫婦の性生活をさらに刺激したのが、妻の一ノ瀬との不倫でした。一人の女性が二人の男性に共有される...一匹の雌をめぐって二匹の雄が競合するところ、必ず闘争があります。どちらかが勝ち、どちらかが負けて去って行く...でも、僕たちは獣ではありません。人間です。野蛮な闘争などありえません。むしろ人間ゆえの残酷な結末に向かって事態は動いて行ったのでした......。

ー妻の思いー
 妻裕子が一ノ瀬に思われていることは先にお話ししました。妻はやさしい女性です。僕にもやさしいけど、僕以外の人間にもやさしい...僕以外の男性にも...でも、それは彼女の性格だから、どうにもならないのです。学生時代、一ノ瀬は裕子以外の女子学生が本命で、かなり積極的に動いていたのですが、4年生の秋くらいに振られた後は裕子に猛烈に働きかけてきたのでした。裕子は一ノ瀬が振られた彼女に言い寄っていたことを知っていましたから、一ノ瀬に対しては距離を置いていたようです。と同時に、これは後になって裕子が僕と結婚してから聞いたことですが、振られた一ノ瀬に対して可哀そうという感情も持っていたのでした。その気持ちが裕子の一ノ瀬に対する態度を軟化させ、4年の冬にはディープキスにまで到っていたという次第です。その夜、裕子は結婚を申し込まれたのですが、それは丁重に断ったとのこと。でも二人は卒業後も連絡を続け、時々は札幌で会ってもいました。裕子の一ノ瀬への思いは、あくまで振られた男の気持ちへの共感と同情だったので、裕子によればキス以上の性行為は頑なに拒み続けていたとのこと。

ー優位と劣位ー
 僕と結婚する時に裕子は一ノ瀬に別れを告げたのですが、新婚早々、彼は妻に連絡してきたのです。妻はそのことを夫には隠していました。この辺の事情はすでにお話ししたとおりです。人妻となった裕子がある種の優越感というか高所からの視線で一ノ瀬を見ていたのに、気がついたら彼に絡めとられていたというのが実情でしょう。夫との性の儀式を済ませた女が夫以外の男との性行為に対して貞淑の敷居が低くなっていたということもあるかもしれません。何にせよ、裕子は若い人妻として、一ノ瀬とのセックスの快楽の虜になってしまったのです。セックスには相性というものがあります。彼ら二人は、人生観や諸般の価値観は異なっているけど、セックスの相性はとてもよかったのでしょう。そのことで僕は妻を責めようとは思いません。ただ、僕の心の中にモヤモヤというか嫉妬というか、何かがプスプスと煙り続けていたことは事実です。先にもお話ししたように、妻にとってのセックスでは、一ノ瀬が優位で僕が劣位でした。二人の性欲が競合するとき、妻はまず一ノ瀬を満足させてから、僕を満足させました。延期することはあっても、僕を拒否することはありませんでした。

ースカート権ー
 妻と一ノ瀬の性生活は徐々にエスカレートして行きました。妻は電話で日常的に服装...特にスカート...を指定されていました。スカートを指定されれば、トップスやランジェリーは妻が自分の好みで選んで身に着ける。そんな衣生活でした。女性にとってスカートは衣生活の中心です。最初の頃、妻が穿いているスカートに対して僕が注文をつけたことがありました。

僕 「そのフレアミニも素敵だけど、たまにはもうちょっと長めのスカートもいいんじゃない?」

妻 「ええ、でも...でも、これって一ノ瀬くんの指定なの」

僕 「そうか。そういうことか。一ノ瀬の好みと僕の好みとじゃ、一ノ瀬の方が優先されるんだ」

妻 「・・・・・・」

僕 「セックスも一ノ瀬が1番、僕が2番だけど、スカートもそうなんだね?彼が一番、僕が2番...」

妻 「ごめんなさい...」

 妻はうつむくばかりでした。妻が穿くスカートは一ノ瀬が決めていたのです。彼が妻の”スカート権”を持っていたのです。妻が一ノ瀬から何も命令されていない時だけ、僕の希望が叶えられました。その一ノ瀬から電話があると、妻は指定された服装で彼のアパートへ出向くのでした。彼からの呼び出し電話では必ずスカートが指定され、化粧に関する指定の場合もありました。呼び出された時の妻の応対は、横で聞いていて、いつもに増して従順で屈従的でした。

妻 「はい。あ、あのスカート...今、クリーニングに出してて...ごめんなさい......はい...はい。分かりました。あのプリーツスカートね、千鳥格子のミニの...はい...はい。1時間くらいで...」

妻 「ルージュの色...あ、はい、この前買って頂いたあの色ね」

 それは僕の好みでもあるスカートで、セックスの時にもよく使っているアイテムでした。時によってはノーパンで、しかも地下鉄が込み合う時間帯を選ばれることもありました。恥ずかしさを強要されることで、彼のアパートに着いた時には妻の身体はスカートの中で濡れて柔らかくなっている...それを一ノ瀬が時間をかけて念入りに検査して、そして彼の身体で味わうのです。ああ...口惜しい...ほんとに口惜しい...

妻 「ちょっと行って来るね。せっかくの休みなのに、あなたを一人にしてごめんなさい。でも...」

夫 「いいんだよ、裕子。僕は二番目の男だ。それでいい...というより、それがいいんだ。君が一ノ瀬に抱かれて帰って来るのを迎える時が一番幸せさ。僕の心の中には嫉妬を精力に変換する特別な心理装置があるんだ」

 妻は微笑んで出て行きました。その心理装置の力強さを妻は実感として知っていたから...しかも妻と一ノ瀬との逢瀬は長くて一泊、短い時は半日だったのです。その頃の僕には、まだ妻を自分のものだと...自分の所有であると確信するだけの精神的余裕がありました。

ー性の合宿へー
 ところがある日のこと...ふた月ほど前のことでした。食事はいつも妻がスカートの上に短めの白いフリル付きサロンエプロンを着けて作ります。その後ろ姿...背中のウエスト部分で蝶結びに結んだエプロンの白い紐がとてもエロチックで、僕は大好きだったのです。その日も、そんな妻が作った夕飯を食している時に妻が言ったのです。

妻 「今日ね、職場に一ノ瀬くんから電話があって...一週間ほど釧路に来てくれって...」

夫 「一週間?...長いね。彼の家かい?」

妻 「ええ。彼、ご両親とは別に独立した家を持ってるの。写真を見せてもらったことがあるけど洋館風の瀟洒な家よ」

夫 「そこで二人きり?」

妻 「...きっとそうなるわね」

 一ノ瀬は卒業してから数年で結婚しましたが、数年後には離婚して一人暮らしに戻りました。ある年の年賀状(僕と裕子宛て)に奥さんの名前、翌年には子供の名前も印刷されていました。でも、僕が気がついたある年、彼一人の名前に戻っていたのです。離婚したのだと思いました。もちろん妻は...僕に隠して一ノ瀬とつき合っていた妻は、詳しい事情を知っていたはずですが、僕たちの会話では知らぬ存ぜぬを通しました。というより、いかにも無関心を装っていたのでした。その後、彼は独り身を通しているはずだから、独立した家というのは彼だけの家...彼が釧路でどんな自慰生活を送っているのか分かりませんが、どんな部屋があるのか...どんな設備があるのか...どんな責め具があるのか...どんな淫具があるのか...

夫 「一週間も何をするんだい?何かお手伝いするの、彼の仕事?」

妻 「ううん。違うの。彼の身の回りのことをしてくれって。奥さんみたいに料理して洗濯して掃除して...要するに家事をしてくれって。エプロン姿の私を見ていたいんですって。この前、彼のアパートで見たテレビドラマでサロンエプロン姿の女性が映って、彼がこんなのいいね、って言うから私も持ってるわ、って言ったのよ」

夫 「・・・・・・・」

 僕は一ノ瀬の意図を理解しました。僕と同じように妻のショートエプロン姿を見て興奮したいんだ......僕は口惜しさのあまり唇を噛みました。スカート姿で家事に励む裕子を鑑賞しながら性的な妄想を広げ、そしてそれを裕子の身体で確認する...僕は、一ノ瀬が好きな時にそんな妻を転がして...あるいは四つん這いにして...そして深々と犯して性的な快感を徹底的に追及することができる状況を想像しました。これは性の合宿だ、と思いました。妻は徹底的に彼好みの女として調教される...僕はうれしいことだと思いました。妻を奪われる口惜しさが引き起こす屈折した暗い被虐の歓び!

妻 「ちょっと長いけど、いいかしら?」

夫 「僕がダメだと言っても、君は行く。そうだろう?」

妻 「・・・・・・」

夫 「もちろんそんなことは言わない。行っておいで。徹底的に一ノ瀬に調教してもらうといい。彼の好みに染まって...彼の躾を身体で受けて...彼の欲望に奉仕しておいで。一ノ瀬の気が済むまで責め折檻を受けてくるといいよ。一週間して僕の所へ戻って来てくれるなら、僕はそれだけで満足だ」

妻 「ありがとう。必ず戻って来るわ。それから、一ノ瀬くん、あさっての朝、ここに迎えに来るって。その時に、家の中も見せて欲しいって言ってたわ。何もかも見せてもらう、って」

ー私生活を見られるー
 僕は何か屈辱的なものを感じました。夫婦の秘密を見られる、というか僕たち夫婦の性生活を覗かれるような思いでした。妻ははいと答えるしかなかったはず......一ノ瀬の言葉に、彼の僕たち夫婦への強い支配欲というか征服欲が感じられたのです。一ノ瀬は僕から妻を奪うだけでなく、僕と僕たち夫婦から私生活をも奪おうとしているのです。”夫婦奴隷”という言葉がふと脳裏を掠めました。いやいや、と僕は思い直しました。僕たちは夫婦であり続けるだけで幸せなんだ、と。どんなに激しく妻が一ノ瀬と燃え上がっても、性行為が終われば裕子は僕のもとに帰ってくる...身体は一ノ瀬に調教されても、精神は...心は...僕と通い合っている...それこそが真の夫婦なのだ...僕はそう考えることで、自分で自分を安心させるのでした。

夫 「いいじゃないか。この部屋も寝室もみてもらおうよ」

妻 「ありがとう。無理なお願いを聞いてもらって...」

 翌々日の朝、一ノ瀬が車で迎えに来るというので、ちょうど休みだった翌日、妻は準備に余念がありませんでした。と言っても、持ち物はそれほど多くはありませんでした。彼のアパートに裕子のためのスカートやブラウスなどのアウターやさまざまなランジェリーが保管されていて、彼がそこから必要なものを車で運ぶというのです。当日、妻はギンガムチェックのプリーツミニスカート姿で一ノ瀬を待ちました。彼の所へ妻が出向くとき、スカートの中は絶対に僕には見せてくれません。僕とセックスするときは見せてくれるのに、一ノ瀬と会う時には彼への操を立てて僕には手を触れさせないのです。この朝もそうでした。上はニットのアンサンブル。胸の線、腰の線、ヒップライン、そのどれもがとても綺麗に出る服装でした。僕は、といえば、本来ならスカート姿で送り出したいところですが、一ノ瀬に僕のそんな姿を見られるわけにもいかず、ラフなルームウエアで彼を待ちました。妻も僕の女装趣味のことは一ノ瀬には言ってないと誓っています。そんなことが彼に知られたら、僕は破滅です......

ー友との再会ー
 その日、僕たち夫婦は一ノ瀬を居間に迎え入れて二十数年ぶりの...僕と彼との...再会を喜び合いました。裕子はキッチンに立って僕たちのためにコーヒーを用意しています。ギンガムチェックのプリーツミニスカートに可愛らしいフリルの付いた白くて短いサロンエプロンを着けていかにも忙しそう......白い蝶々結びを乗せたヒップが左右に動き、そのたびにプリーツが優しく揺れています。僕たちは裕子のそんな後姿を見ながら、それぞれの二十数年の来し方について語り合いました。ただ、そこに親愛の気持ちはどちらにもありませんでした。一ノ瀬は僕から妻を奪い、私生活を奪おうとしている...それだけではなく、僕たち夫婦を奴隷にして僕を苦しめようとしている...そんな妄想を抱いていた僕です。僕は澤村の性奴隷に落とされている身だけど、一ノ瀬の性奴隷になるのはいやだ...そう思っていました。裕子が淹れてくれたコーヒーをほぼ飲み終わる頃、一ノ瀬は彼女に言いました。

一ノ瀬 「いい家だね。高原の才覚だね」

妻 「ええ。高原くんが一生懸命働いてくれたから。でも一ノ瀬くんの家もご立派なんでしょ?」

一ノ瀬 「いや、それほどでも。後でゆっくりと見てくれよ」

妻 「はい...」

一ノ瀬 「ここはリビングだね。ほかの部屋も見せてくれる?」

妻 「はい、高原くんもいいって言ってくれてますのでどうぞ。ご案内します」

僕 「僕はここで待ってるから、ゆっくり見て行ってくれ」

一ノ瀬 「いや、これから福崎さんといっしょに釧路に戻らなければならないから、あまりゆっくりもできないけど、じゃ、ちょっと見させてもらおうかな」

 妻が一ノ瀬の前で、僕のことを夫とか主人とか言わずに君付けの名前で呼ぶのを聞いて、僕は自分の立場を知りました。妻が先に立って、一ノ瀬が従う形で、二人は階段を上がって、二階にある夫婦の寝室へ入って行きました。一ノ瀬は玄関や台所に興味なんかないんです。ただ僕たち夫婦の寝室に入り込んで夫から妻を奪い取ったことを宣言したかったんだと思います。

ー夫婦の寝室ー
 寝室に妻と一ノ瀬が入った後、彼がドアを閉めてしまったので、中の二人の様子を窺うことはできませんでした。寝室にはベッド以外にもいろいろと夫婦の性生活を示すアイテムが置いてあります。本棚には僕のSM雑誌のお気に入りバックナンバーやSM映画のビデオやDVDが並んでいます。棚や壁にはロープや紐、手錠、鞭や笞、各種の淫具といったSMプレー用のアイテムが所狭しと並んでいます。隣り合ったクローゼットの洋箪笥には多数のスカートが、僕の分も含めて吊られていて、その下には室内用のハイヒールが並んでいます。好奇心旺盛かつスカートフェチの一ノ瀬がこれらに目を着けないはずがありません。一つ一つについて、その使い方、使われ方を妻に意地悪な質問をしているに違いありません。恥辱に耐える妻の表情が目に浮かびます。僕にはそんな妻を見る一ノ瀬の欲望も容易に想像できるのです。僕も二階に上がって廊下で待ちましたが、二人は寝室からなかなか出て来ませんでした。何をしているか、何を話しているか、僕には分かりません。音は何も聞こえないけど、それがかえって僕に淫らな妄想を呼び起こすのでした。10分ほどして彼らが出てきた時、妻がしきりにスカートの裾を気にして手で整えているのが印象的でした。一ノ瀬は僕が廊下に立っているのを見ると、妻と顔を見合わせて苦笑いし、何事かを二人で共有する素振りをしました。そしてそのまま笑い残した顔で、僕に向かって厳然と言い放ったのです。

一ノ瀬 「お、何だ、高原。ここにいたのか。ゆっくり見せてもらうから、お前、下で待ってろよ」

高原 「・・・・・・」

一ノ瀬 「俺と福崎さんと二人で見て回るからさ。下で待ってろ!」

高原 「あ......ああ。分かった。分かったよ」

 妻の目の前で一ノ瀬に一喝された僕は、言われるままに引き下がったのでした。負け犬です。雌をめぐる2匹の雄犬の駆け引きで僕は負けたのです。雌犬の前で...妻の見ている前で...妻にとって僕は一ノ瀬より下位の男。そのことを先日は妻から言い渡され、今日は一ノ瀬から言い渡された...この時点で僕は二人の公認の奴隷に落とされたのです。二人に屈従する奴隷だったのです。妻は僕を憐れむような目で...心なしか軽蔑のニュアンスを含んだ目で...一ノ瀬に屈従させられる僕を見ていました。一ノ瀬は僕に向かって言うべきことを言うと、妻の肩を抱いて再び寝室に連れ込みました。クルッと反転した時の妻のプリーツスカートの揺れ動きが、悔し涙で濡れた僕の瞼に焼き付きました。たった一つの救いは、僕が普段スカート姿で暮らしていることを妻が隠してくれたことでした。それを一ノ瀬に知られたら、僕は文字通り彼の奴隷に落とされてしまう...もう澤村の性奴隷に落とされているのに、もう一段恥辱と屈辱に塗れた下位の奴隷に落とされてしまう...僕は妻の真心を感じました。妻は僕を守ってくれた...妻はまだ僕のものだ、と信じることができた瞬間でした。

ー夫の目の前でー
 僕は下に降りて、嫉妬でジリジリする気分で二人を待ちました。5分経ち、10分くらい経った頃、妻が降りてきました。僕をチラッと見ましたが、黙ったまますぐ目をそらします。僕が「何をしてたの?」と訊こうとすると、一ノ瀬も降りてきました。そして僕に「車の中に黒のバッグがあるんだけど、取ってきてくれないか」と言うのです。彼の車は、ここから歩いて2分くらいにあるコインパーキングに置いてあるとのこと。人払いか?とも思いましたが、僕に拒否する権利はありません。車種を聞き、キーを預かって車に向かいました。何が入っているのか、妙に重いバッグを持って家に戻ると、中は静まり返っています。苦しい予感を抑えながら急いで居間に入った僕の目に飛び込んで来たのは、妻と一ノ瀬がソファに並んで座ってキスをしている光景でした。抱き合っているのではありません。妻は脚を斜めに揃えて座り、その膝の上に両手を置いています。いかにも黙って受け入れているという風情です。一ノ瀬は右手をそんな妻の肩に置き、もう一方の手で妻の顔を上げてキスしているのです。妻は目を閉じ、夫を意識してか、自分から積極的に一ノ瀬に甘えるではなく、むしろ耐えているという表情でした。二人は僕が戻ったことを知りながら、そんな不自然な、しかし強烈にエロチックな姿勢で、静かなキスを続けました。僕はどうしていいか分からずに、バッグをテーブルに置いて椅子に座って彼らを待ちました。僕が戻って1分くらい経った頃、一ノ瀬の左手が妻の顎から離れました。二人は唇で繋がったまま、妻は顔をあげさせられたまま......彼の左手はさらに動いて、座っている妻のプリーツスカートの裾を掴みました。ゆっくりと捲り上げられ、白いペチコートの端とストッキングに包まれた妻の太ももがチラッと見えた瞬間、妻が両手でスカートを押さえ、唇を放しました。

妻 「あ、ありがとう、高原くん」

 上気した妻の目に涙が浮かんでいます。歓びの涙なのか苦しみの涙なのか...半開きの唇も濡れて光っています。一ノ瀬の舌を受け入れていたのでしょう、一ノ瀬に無理やり犯されていた...のではなく、積極的に...

一ノ瀬 「おお、サンキュー、高原。」

 一ノ瀬は悪びれるでも慌てるでもなく、ゆっくりと立ち上がって食卓上のバッグに手を伸ばしました。釧路の土産だと言って、たくさんの水産加工品を取り出したのです。重さの原因はこれだったのか、と僕は納得したものです。妻は座ったまま、静かに俯いています。スカートを直し、両ひざを硬く閉じたまま...。一ノ瀬は僕からキーを受け取りながら、妻に向かって言いました。

一ノ瀬 「じゃ、俺、車を取って来るよ」

妻 「はい...」

 彼が出て行くと、僕は妻の横に座りました。一ノ瀬に妻を好きなようにされていた僕は、ずっと高ぶったままでした。いつもならスカートでいる下半身...今はズボンを穿いた下半身が、キチキチでとてもつらかった...僕は黙ったまま、片手で妻の乳房をニットの上から握り、片手をスカートの中に入れて太ももをまさぐりました。さっきは潤んでいた目が、今は元に戻っています。妻は唇を少し開いて白い歯列を見せながら、軽く声を出して喘ぎました。さっきの一ノ瀬の時みたいにスカートの中に侵入してくる手を拒むことはなかったのです。僕はうれしかった......夢中で妻の唇に僕の唇を押し当てました。と同時に妻は唇を閉じました。僕は勢いで妻の唇を割ろうと試みましたが、妻は唇を固く閉じたままで僕の舌の侵入を拒みます。ああ...今までと同じ...妻は夫にすべてを...どんな恥辱の行為をも、許してくれましたが、彼女の舌だけはこれまで絶対に夫に許さなかったのです。頑なに夫の舌の侵入を拒み続ける妻に、夫は無性に嗜虐的になって妻のスカートの中を手で荒々しく蹂躙して行きました。ストッキングの上の太もものむっちりとした肌の柔らかさと吸いつくような感触!...ずっとこのまま楽しんでいたかった......でも、玄関チャイムが鳴ったのです。妻はあわてて立ち上がり、スカートを整え、髪を直しました。

妻 「もう行かなくっちゃ」

僕 「二人の男に共有されるってどんな気持ち?」

妻 「いや、そんな言い方...」

僕 「ごめん。つい口惜しくて...裕子のこと、好きだから...」

妻 「私も好きよ、あなたのこと」

僕 「”高原くん”じゃないの?」

妻 「ごめんなさい。でも一ノ瀬くんの前ではそう呼べって...」

僕 「命令されてるの?」

妻 「......うん...そう...」

僕 「僕も君に命令できるかな?...一ノ瀬を断れって...」

妻 「......ダメ...前にも話したじゃない?...裕子はもう一ノ瀬くんから離れられないの。身体が離れられないのよ。淫乱な女だって思ってるんでしょ?でも、自分を胡麻化して生きていくことはできないわ。今、胡麻化しても、必ず後になってしっぺ返しが来るわ。身体は誤魔化せない......」

僕 「いや、分かってる。分かってるんだ。でも......」

妻 「あなたと一ノ瀬くんから命令されたら、一番が一ノ瀬くん、二番目があなた。前にも話し合ったわよね。だからと言ってあなたのことが嫌いなわけじゃない。ただ、あなたとのセックスでは私の身体が満足できないから......私、ふつうの女より淫らなのかもしれない。でも、どうしようもないのよ。自分ではこ身体をどうにもできない...」

 立ち上がっていた妻が椅子に腰を下ろしました。脚をそろえて横に斜めに流しながら...と同時に、涙が妻の目から溢れ出て、声も詰まって来ました。机にあったティッシュペーパーを目に当ててしゃくりあげ始めて......その時、またチャイムが鳴りました。クラクションも聞こえます。

僕 「ごめん。気にしないで。ほんとにごめん」

妻 「もう行かなくっちゃ。必ず帰って来るから...」

 妻はかんたんに身づくろいして、小さなバッグを手にあわただしく出て行きました。泣いた跡のある妻の顔を見て一ノ瀬は何を思うでしょう......きっと僕たち夫婦への優越を噛みしめて内心では欣喜雀躍していることでしょう。泣いたことを知られた妻は、きっと一ノ瀬から無残な責め折檻を受けるでしょう。何回も激しい性行為を経験しているでしょうが、今日はあらためて辱めを受けることになるでしょう。彼はそういう、残酷な男です。妻の恥辱に歪む横顔が目に浮かびます。でも妻が彼の仕打ちを受けて歓ぶ様子も目に浮かびます。裕子は一ノ瀬の性奴隷に落とされている......そう思うと、猛烈に裕子が愛しくなってきて...僕は一気に手淫して、その場で射精して果てました。

ー合宿中の電話ー
 妻が釧路に行ってから3日目の夜、妻から電話がありました。一ノ瀬の家の中なのでしょう、とても静かな環境のようでした。いつもの妻のハスキーなアルトの声で「元気?」と聞いてきました。

僕 「ああ、こっちは大丈夫。裕子は?...今は何してるの?」

妻 「今?......え、ええ。今は...今は、一ノ瀬くんと......」

僕 「一ノ瀬と?...彼と何をしてるんだい?一緒にいるの?」

妻 「うん、一緒......今ね...ええ、今......裕子、一ノ瀬くんに乗せてもらってる...」

 妻は一ノ瀬に貫かれたまま僕に電話してきたのです。いや、電話させられたのです。椅子に座った一ノ瀬の勃起した性器で犯される形で一ノ瀬の上に座らされているのです。脚を大きく広げさせられた格好で...そんな恰好で...僕に電話させられて......一ノ瀬は裕子の心の中の僕への貞操を弄んでいるのです。妻に夫を裏切る行為を強制しながら、妻の夫への忠誠を崩しにかかっているのです。セックスの技と勃起した性器の力強さとで妻の身体を支配した一ノ瀬は、妻の心をも支配しようとしているのでした。そして、妻の電話の声を聴く限り、妻が屈服させられる時は遠くないと思われました......

僕 「まだ帰れないの?...まだ許してもらえないの?」

妻 「ええ。ごめんなさい、ウウッ...ご、ごめんなさい、アアァッ...堪忍して...」

僕 「どうしたんだ、裕子。どうした?何かされてるのか?」

妻 「い、いいえ、何も。じゃ、切るわね。もうすぐ帰るから待ってて...ウウッ......」

 そこで電話は切れました。僕は妻の様子を...スカート姿のまま一ノ瀬に犯されながら電話してきた妻の様子を想像しながら、一気に手淫で射精しました。もちろん、そんな僕も千鳥柄のフレアミニスカート姿で......

ー妻の帰宅ー
 裕子が帰宅したのは、出て行ってから11日目の夜でした。電話があってから一週間経った日の夜...この日も僕は千鳥柄のフレアミニスカートでした。ドアチャイムが鳴って僕が出迎えると、妻はアッと見違えるような女に変わっていました。なによりまず髪型が変わっていたのです。妻は学生の頃から結婚後もずっとミディアムのカーリースタイルだったのですが、釧路から戻った妻の髪型はストレートのショートボブに変わっていました。化粧は、妻も僕も薄目を好んでいたのに、今は一ノ瀬の好みに合わせて濃くなっています。特にルージュの色が扇情的な深紅に変わりました。衣装も、出て行った時と違うバイアスチェックのフレアミニスカートにクリーム色のタートルニット、フレアがかかった白いショートトレンチコートを羽織り、暗色系のストッキングに黒いハイヒールを履いていました。アウターのどれもが、僕の初めて見るアイテム...しかも耳にはピアスのイアリング。今までコンタクトだったのに新しい眼鏡をかけ、手首には、縄で縛られたような痕を隠すように白金色の鎖のブレスレット。そして出て行くときは指に嵌めていた結婚指輪がなくなっている......数秒の間、僕は唖然として言葉が出ませんでした。妻がヒールを脱ぎ、コートをポールにかけて家に上がる間、僕は妻を凝視し続けました。二人とも居間に入った時にやっと声が出たのでした。

僕 「お帰り。見た時は驚いたよ。だいぶ変わった?」

妻 「え、ええ。いろいろ...」

僕 「そのスカート、いいね。化粧もアクセサリーもよく似合ってるよ。一ノ瀬の見立て?」

妻 「ありがとう。昨日ね、一日釧路の街を回って買ってくれたの。」

僕 「眼鏡にしたんだ」

妻 「彼がこの方が似合うよって」

僕 「僕たちの指輪は?...あれは、どうしたの?」

妻 「・・・・・・」

僕 「はずしたの?」

妻 「あのね。裕子、一ノ瀬くんの家で毎日抱かれてたの。1日に2度3度とセックスして...そのたびにイカされて......一ノ瀬くんはイカないくせに...それでね、犯されるたびに聞かれたの。俺を取るのか高原を取るのか、って。今までもそうだったんだけど、釧路では凄かった...どっちが裕子にとって大事なんだって」

僕 「で、なんて?」

妻 「どっちもです、って言ったわ。どっちも裕子には大切な人ですって......そしてら、順位をつけろって」

僕 「男の順位?」

妻 「ええ、順番をつけろって。で、正直に一ノ瀬くんが一番で、高原くんが2番ですって言いました」

僕 「・・・・・・」

妻 「ごめんなさい。でも、これって前からあなたに言ってるわよね?」

僕 「ああ。いいんだよ。僕は2番目の男でいい。でも指輪は?」

妻 「指輪は...指輪は一ノ瀬くんに没収されました。君は俺の女だ。高原の女じゃない。その指輪は俺が預かるって。私、言ったんです。私は一ノ瀬くんだけのものじゃない、高原くんと一ノ瀬くんのものよって。そしたら、でも君の一番の男は俺だ、高原じゃない。だからアイツからの指輪は君には似合わないって」

僕 「そうか...指輪を取られちゃったんだ......仕方ないね。一ノ瀬には逆らえないんだものね。でも僕の指にはまだ残ってる。まだ僕たちの関係は残っているんだ!」

妻 「・・・・・・」

 結婚指輪を取られてしまったということは、単に指の外見だけの変化ではありませんでした。僕たちの婚姻が一ノ瀬によって精神の面から崩され始めたことを意味しているのです。そのことを実感しているのは僕よりも妻だったでしょう。夫という頼りを剥奪されて世の中に...たくさんの男たちの中に...ただ一人、無防備なスカート姿で放り出されてしまったという不安感!...僕との繋がりの象徴を奪われてしまった...それは彼の手の中にある...ということは、つまり、妻は、いえ、妻と僕はともに一ノ瀬の前に跪く存在に落とされてしまったということなのです。なんか、僕たち夫婦の運命が一ノ瀬の手に握られたというか、一ノ瀬の心ひとつで決められてしまうというような思いに囚われてしまったのでした。でも、これは彼が僕たち夫婦の身体の結びつき、否、それ以上に精神の絆を崩壊させて行く過程の第一歩に過ぎなかったのです。

ー妻を検査するー
 僕は妻をそのまま寝室に誘いました。自分では命令したつもりです。妻は従いました。俯きながら僕に続いて寝室に入り、僕がそのままベッドに寝てと言うと、素直に仰向けになりました。

僕 「これから裕子を検査する。服を検査し、下着を検査し、君の身体を検査し、最後に君の心を検査する」

妻 「はい...あなた......どうぞあなたの気が済むまで裕子を検査...厳しく検査して.......下さい」

 僕は目を瞑って待つ妻の髪に手を入れて、その丸く秀でた額にかかっていた髪を整え、唇に軽く人差し指で触れました。妻の身体がピクンと揺れたようでした。そのまま形のいい唇を指でなぞりました。妻がそれまで閉じていた唇をほんの少し開き、白い歯列が現れました。でも僕が彼女の柔らかい唇に接吻しようとすると、また固く閉じられて...この時、何か妻の固い決意のようなもの...操を守ろうとするような固い決意が感じられたのです。操?...誰のために?...僕が思い浮かべるのは一ノ瀬しかいませんでした。これまでずっと夫の舌の侵入を拒んできた妻。それは一ノ瀬の意向だったのか?命令だったのか?僕は妻をきびしく詰問したかった。でも、妻を苦しめたくもなかったのです。僕は彼女の肩を軽く叩いて、今はいいんだよと告げて、そのまま手を肩に置いて、柔らかいニットの感触を確かめ、さらに胸に手を置いてブラジャーのカップを感じました。妻は目を閉じたまま、さらなる何かを待っているようでした。

 僕は妻のウエストをニットの上から確認してから、次にフレアミニスカートの上から太ももをやさしく撫でながら、これまで通りの弾力を...ゴムまりのような若々しい弾力を確かめました。妻は小さな呻き声を上げました。僕が妻の短いスカートの裾を摘まみ上げると、彼女は「ああ...」と呟きました。僕は黙ってそのままスカートを捲り上げました。一ノ瀬はスカートフェチですが、ペチコートには関心がないようです。妻は薄ピンクのスリップを着けていました。これも今回、彼に買ってもらったとのこと。このスリップを捲り上げようとすると、妻は片脚を上げてから少し横に傾けて、身体を守ろうと...僕の視線から守ろうとしました。「見ないで、お願い」と妻が僕を見つめながら懇願します。「ひどいことは何もしないから」と言いながら、僕はスリップのレースを摘まんでサッと捲り上げました。

妻 「アアッ!...ああ...恥ずかしい...」

夫 「・・・・・・」

妻 「一ノ瀬くんに命令されたの。ごめんなさい、でも...」

夫 「何も言わなくてもいいよ。自分で?」

妻 「最初は一ノ瀬くんが......今朝のシャワーの時には裕子が自分で...」

夫 「うむ」

妻 「これからは毎週、自分でしなければ......」

 妻の陰部は綺麗に剃毛されていたのです。もう一度妻に接吻しながら、妻の脚を手でやさしく開きました。胸の膨らみに手を置きながら唇を離し、完全剃毛された...否、剃毛させられた妻の陰部に目をやりました。ピンク色の粘膜部が部屋のライトに光っていて、ぐっしょり濡れています。陰核もはっきり見えて、妻は感じている...僕に見られて感じている......僕はとてもうれしかったけど、すぐに妻を抱きたい誘惑に何とか耐えて、妻の両脚を閉じてやりました。その時気がついたのです。太ももの上部に前面にうっすらと赤い鞭の痕に...僕がその一筋に優しく手を触れると、妻の身体はビクッと動いて反応しました。妻は顔を横にして目を閉じて屈辱の検査に耐えています。僕は妻を裏返して白く張ったヒップを検査しました。そこには左右の尻タブにXの字を描くように鞭で打たれた無数の痕がやはりうっすらと残っていたのです。ひとしきり撫で回した挙句に妻を仰向けに戻し、スリップやスカートも元に戻してから再度接吻して訊きました。

僕 「鞭で打たれたの?」

妻 「・・・・・・」

僕 「太もももお尻も?」

妻 「・・・・・・」

僕 「僕とのことで折檻された?」

 妻は首を小さく振りました。短くしたボブヘアが揺れて、押し出すような妻の呻き声が聞こえました。妻はすぐに声を整えて言い直しました。

妻 「ん〜ん。いいえ...折檻じゃないの。拷問を受けたの」

僕 「・・・・・・」

妻 「高原とセックスする時の様子を詳しく話せ、って...」

僕 「・・・・・・」

妻 「今までも何回も声に出して言わされたのに...」

僕 「・・・・・・パンティはどうしたの?」

妻 「今朝、一ノ瀬くんに没収されたの」

僕 「じゃ、そのままでずっと釧路から?」

妻 「ええ、ずっと」

僕 「不安だった?...スカートの中、こんな無防備で」

妻 「ええ。でも、それ以上に恥ずかしかったわ。とても恥ずかしかった...」

 妻が濡れているのは、僕の検査のせいではなく、パンティを奪われて、しかもこんな短いスカートで釧路から札幌まで戻ってきたからか......。そう思うと、僕の存在の軽さを思い知らされるようでつらいものがありました。でも、女装マゾの僕は妻の恥ずかしさに感情移入して、自分が高ぶって来るのでした。僕はいきなり妻のスカートを捲り上げ、自分自身もスカートを捲り上げて妻に覆いかぶさり、高ぶった性器をそのまま一気に妻の身体に挿入しました。妻は「ウウウッ」と呻き、眉根を寄せて突然の性器挿入の唐突さに耐えています。僕はそのまま妻の腰を抱き上げると同時に胡坐をかき、妻を僕の上に乗せたのでした。僕たち夫婦のいつものやり方......僕は妻を突き上げながらその乳房を引き出して揉みながら訊きました。

僕 「一ノ瀬にはどんなふうに責められたの?」

妻 「・・・・・・」

僕 「ね、どんなふうに辱められたの?」

妻 「ごめんなさい。何も言うなと言われているの。彼とのセックスのことは絶対に言うなって」

僕 「そうか。でも僕たちのことは?」

妻 「それは訊かれます。訊かれたことには何でも答えなければならないの。それが彼の命令...」

僕 「そうか。そうだったね。一ノ瀬が一番、僕が二番...」

妻 「ごめんなさい...」

 僕は自分の身分をあらためて思い知らされました。僕は法律上は裕子の夫です。でも、裕子の身体は一ノ瀬に支配されています。裕子はもうすでに、肉体的に一ノ瀬に屈従する奴隷に落とされているのです。僕にはそんな彼女をどうすることもできません。セックスの相性って、天性のものだから、一ノ瀬に出会って彼の身体を受け入れてしまった裕子の運命だったとしか言いようがありません。彼に会わなければ、裕子も僕との性生活でそれなりに満足して送る生涯だったでしょうが...。しかも、今回の”性の合宿”で明らかなように、一ノ瀬は僕たち夫婦...僕と裕子...の精神的な繋がりをも掘り崩しにかかったのです。今回の合宿は彼の僕たち夫婦への...いいえ、きっと僕自身への...宣戦布告だったのです。僕たちが...僕が...一ノ瀬の責めにどこまで耐えられるか、その頃の僕にはまだ妻との婚姻関係という最後の砦があったのでした。

僕 「何があっても...どうなっても...裕子は僕の妻だ。僕は君を離さない。一ノ瀬には渡さない」

妻 「ありがとう。守ってね...私を守って...私、怖いわ。一ノ瀬くん、身体だけじゃなく、私の心の中にどんどん入って来るから...ね、私を守って...いつまでもこうしていて...」

 この夜の裕子の服装もアクセサリーも化粧も髪型も眼鏡も、そして指輪を嵌めていないすらりとした白く長い手指も、すべては一ノ瀬が指定したものでした。すべてが一ノ瀬の好みです。僕は何となく不思議な被虐感を覚えました。まるで一ノ瀬の女を僕が犯すような...でもそれはれっきとした僕の妻だという不思議...。僕たち3人の実態はと言えば、それは僕の妻を一ノ瀬が奪い、自分好みに変えて犯している...彼が妻を犯し続けているということなのに......僕はそんな妻を守れるだろうか...妻を奪われるかも知れない...まるで倒錯した被虐の歓びに僕は興奮してしまって早漏気味となり、妻を満足させることもなく、あっという間に射精して果てました。僕のこのセックスの弱さこそが妻の身体と心を一ノ瀬に向かわせていることを自覚しながら......

 僕があまりに興奮して、妻の服を脱がせて身体検査する前に性行為に及んでしまったため、その時には分からなかったのですが、後で妻を裸にして身体を調べた時、その手首だけではなく二の腕にも縄の痕がはっきりと残っていました。よほど厳しく縛り上げられていたと思われました。身体検査されている妻の乳首が立っています。恥辱で高ぶっているのでしょう。僕はそっと縄の痕に指で触れました。アア〜...妻が堪えきれずに洩らす喘ぎ...僕は全裸の妻を抱きしめました。渡したくない...一ノ瀬には渡したくない...絶対に妻を守らなくては...僕は心に誓いました。
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